オフィスウエア製造卸のセロリーは上期(2015年12月~16年5月)、定番商品、別注商品とも堅調な販売であることから、前年同期比10%強の増収を想定する。太宰幹夫社長は「定番、別注とも“商品力”の向上に加え、順調に供給できていることが、増収に寄与している」と話す。職場環境の改善、次世代を担う人材育成の強化によって、“質の高い”企業を目指す。

―上期の進ちょくについて教えて下さい。
 3月の単月売上高だけを見ると、前年同月比15%増で推移しています。例年に比べアソートによる出荷が増え、出荷量だけを見ると3割以上増えています。昨年は別注の受注が増加し、国内で生産を対応したことで、計画通り在庫を確保したものの、定番商品の供給でやや物不足感がありました。今年はより在庫を持って対応したことで、スムーズな供給ができています。アソートだけでなく、別注と定番商品を組み合わせた供給など、求められる変化と、多様なニーズに応えられる体制ができてきたことが、売り上げ拡大に寄与しています。
 また、3年前から本格的に販売に乗り出し、販売数量がシリーズ累計30万点を突破するニット製品をはじめとしてセロリーらしい商品が充実してきたことも増収に寄与してきました。定番商品のデザイナー5人に加え、各拠点で別注に対応するデザイナーを2~3人を確保しています。さらにパタンナーも10人ほど配置し、他社に比べ豊富な人材と、特色を出した企画も受注拡大につながってきました。
 ですから、上期は前年同期比10%強の増収を見込んでいます。

―生産面も強化されています。
 現状、国内には本社エストレヤのほか、佐賀県内に3工場があり、国内の生産比率は30~35%となっています。海外で先に生産し、足りない部分を国内で補うという考えで、生産基盤を強化してきました。08年のリーマン・ショックでは売り上げが大幅に減り、工場を持っていること自体、厳しい環境にありましたが、腹をくくり、工場の閉鎖やリストラをせず、社員の気持ちを一つにしてきました。そこが当社の“ブレない軸”であり、今の結果として表れているのだと思います。
 例えばオフィスウエアとしてニットを使うのは非常に難しいですが、国内で技術継承をしているからこそ、商品化できています。海外でも生産していますが、日本から技術者を派遣し、技術指導をしっかりしながら、単にデザインが良いだけではなく、高品質な商品の提供ができます。
 設備投資としては本社エストレヤで流通センターを増設し、作業効率を高めるほか、ミシンの自動機の更新を進めるとともに、来期以降は伊万里セロリー(佐賀県伊万里市)の建屋や設備更新も進めます。

―職場環境についても改善を進めていました。
 昨年6月に「優秀子育て応援企業賞」や、均等・両立推進企業として「岡山労働局長奨励賞」を受賞するなど、ワークライフバランスへの取り組みを推進してきました。今期も社員が2日間のリフレッシュ休暇を取得できる制度を設け、働きやすい職場環境を心掛けています。産休の女性がもう一度、戻ってきやすい環境にすることで、人員を確保するとともに、技術継承も力を入れています。
 今年6月には中国人研修生の受け入れを止め、従業員を日本人だけにし、技術継承を強める考えで、環境改善を進め、安定した人材の確保に努めます。
 また、次世代を担う人材教育も始め、今年7月から2年かけ、約20人に対して育成プログラムを実施します。新卒生に工場で1年ほどの研修や、経理・財務担当に簿記の試験を受験させるなど、一人ひとりの成長を見据えながら、“質の高い”企業を目指していきます。

―サービスウエア「WSP」、ケアウエア「アイフォリー」はいかがですか。
 展示会への出展や、テレビドラマに衣装提供するなど、少しずつ認知度を高めています。昨年6月にはケアウエアで専任の担当者を配置しており、より販路を広げていきます。

―通期の見通しについては。
 リーマン・ショック前とほぼ同水準となる売上高45億円(前期43億6000万円)を想定しています。秋冬以降の新商品についても顧客に期待してもらえる商品をそろえながら、企画力により磨きをかけていきます。


2016年4月26日(火) 繊維ニュース25面












































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