オフィスウエア製造卸のセロリー(岡山市)は、ボディグラムジャパン(東京都渋谷区)、トランスコスモスと提携し、AI(人工知能)で瞬時に身体サイズを推定することが可能なデジタル採寸技術「ボディグラム」の活用に乗り出す。採寸から納品までの運用コストが約85%削減され、販売代理店にとっても大きなメリットを享受できる。
 ボディグラムはAIの学習機能を駆使して身体サイズを推定する先進技術。年齢や身長、体重、性別を入力し、服を着たままスマートフォンで正面と側面の2枚の写真を撮影するだけで被写体のボディーラインを自動で検出し、腹囲や肩幅、手足の長さなど全身のサイズを推定できる。ヌード寸法の精度は90~95%と高く、既にアパレルやヘルスケア、寝具などの業界へも技術提携をしており、企業向けユニフォームでは初めての採用となる。
 オフィスウエアでは販売代理店が商品を納入する前に、納入先の企業に出向き一人一人の従業員へ“着せ付け”と呼ばれる採寸を行い、体形に合った服を供給している。これまで従業員が100人いた場合、2週間程度かかっていた採寸作業が、ボディグラムの活用によって1、2日で完了、細かいデータ入力などの業務も簡素化され、商品供給が早くできる。
 これまでサイズのばらつきを予想しながら生産していたが、正確な採寸データが早く入手できることで生産ロスが低減され「納期までの日数が短くなる」(松本和久常務)。
 新型コロナウイルス禍で非接触が求められる中でも有効。「サイズが合わなかった場合の返品や、返品された商品の再プレスといった手間も省ける」(中島武彦取締役)ことで在庫削減にもなり、SDGs(持続可能な開発目標)を訴求できる。
 販売代理店に「セロリーの商品がストレスなく売れるというメリットを感じてもらえる」(松本常務)ことで、今後の販路の広がりを期待。ボディグラムがこれまで世界で採寸してきた180~200万人のデータを活用した商品開発も視野に入れる。


 2020年11月11日(水) 繊維ニュース 4面



















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